「不思議いっぱい」人の寿命と閉経

人の進化のギモン、 生と死のメカニズム

なぜ女性は閉経するのでしょうか ? 納得できる理由がありました

ジャレド・ダイアモンド博士のヒトの秘密より

 

ジャレド・メイスン・ダイアモンド博士

 

Jared Mason Diamond 1937年9月10日

アメリカ合衆国の進化生物学者、生理学者、生物地理学者、ノンフィクション作家。

現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)社会科学部地理学科の教授。

著書『人間はどこまでチンパンジーか?』の中で

大躍進」(The Great Leap Forward)という言葉を用いたことでも知られる。

 

 

人の寿命 寿命はどうやって決まる ?

 

なぜ私たちは年老いて死ぬのか ?

他の動物とは異なる進化をしたのか ?

 

500万年の歴史をたどってきました

言語やアート、ライフサイクルなど動物にも先駆けがある事を見てきました

 

人は他の多くの動物と違って一夫一妻が基本です

他の動物とは違う年の取り方をして死んでいきます

 

なぜ年老いて死ぬのでしょうか ?

なぜ女性は一定の年齢で閉経して子供を産むのを止めるのか ?

女性(メス)が閉経するのは哺乳類ではほとんど存在しません

なぜ女性だけが閉経するのか ?

そういった疑問を進化論からの観点で考えていきます

 

数年前に117歳で亡くなったフランスの女性がいますが

120歳以上生きた人はいません 105歳以上生きた人も少ないです

 

一方もっと長生きする動物もいます

カメは170年以上の長生きです

しかしねずみの場合は大切に素晴らしい環境で育てても2年で死んでしまいます

 

なぜ人の寿命は80年くらいで、120歳を超えて生きる事ができないのでしょう

 

生物の寿命は体の修復にどれだけエネルギーを費やして進化してきたかで決まるのです

 

お医者さんに治してもらう以外に私達の体は自力で修復する力も持っています

 

人の体の修復

 

ケガをした時何もしなかった場合

人の体はどのような修復機能を持っている ?

 

・骨を折った時は治療はして貰いますが骨は自分自身で修復していきます

・日焼けで皮膚がめくれても体は自動的に肌を形成してくれます

 

常に体の中では修復が進んでいるのです

 

・腸の内壁の細胞は3日前のものとは違っています

腸は成長していて3日毎に剥がれ落ちて新しい細胞が作られているのです

※うんちの80%が水分 食べかすが5% 腸内の細菌10% 腸の細胞5%

 

・血液を赤く染める赤血球は4ヶ月で交換され常に新しい赤血球が作られているのです

 

より大胆な修復を行う動物

 

トカゲ 尻尾が切れてしまっても自分で再生します

ヒトデ ウデを再生します

 

人はこのような再生は不可能ですね^^;

なぜそのように再生できるように進化しなかったのか ?

ヒトデは天敵に狙われる機会が多いけど人は手や足を失う事はそうないからです

そして足を切り落としてしまうケガをすれば出血多量で亡くなってしまいますから

修復する理由がなくて再生されるようにはならなかったのですね

 

体の修復はコストの最適化に関係しているのです

 

修復とコスト

 

車の修理 人間が自分で判断します 新しく買う方が得か、修理が得か、車を手放してタクシーにするのが得かなど

体の修復 進化の中で最適な形が決まります

 

体のコストはカロリーです

私達は1日およそ2000㎉を消費します

このカロリーで究極的に達成したいのが赤ちゃんを作る事です

自分の足の修復にカロリーを使うと子供を作るのに割り当てる分が少なくなります

 

繁殖と修復のバランス

 

私達動物は、子孫を残す仕組みが整っているからこそ今地球上に存在しているのです

 

カロリーをどう有効活用すべきなのか

もっと頻繁に腸の内壁を修復した方がよいのか

子供を産むことにもっとエネルギーを振り分けて

自分はとっとと死ぬ方がよいのか ?

 

体の修復にエネルギーを使わず、カロリーのほんどを子作りに費やし短い生涯を終える動物もいます

 

例えばオーストラリアに生息する有袋類マウス

 

 

ねずみではなくカンガルーの仲間です オスの寿命は1年なのです

1歳を過ぎるとすべての時間を交尾に費やします 目的は出来る限り多くのメスを妊娠させる事

何も食べずにいるので3週間もたたない内に12匹の子供を残して死んでしまいます・・・

自分の修復を犠牲にして多くの子供を残すという戦略を取る事で種として生き残っているのです

 

ねずみは小さくて天敵も多くいつ食べられるかもわかりません

明日死ぬとわかれば体の修復は無意味となるのです

カメは固い甲羅に覆われていて簡単には死にませんから修復して長生きすることに価値があるのです

 

小動物は天敵に殺されるリスクがあります

殺される前に早く子供を作らないといけない遺伝子が残ったのです

子作りに多くのカロリーを使うので短命となったのです

 

カメや鳥など捕食リスクの低い動物は子作りを急ぎません

自分自身の修復にも適度にカロリーを割り当てるタイプの遺伝子が残りました

 

繁殖と修復の配分によって寿命が決まると考えられるのですね

 

 

閉経

 

女性は中年期に生理がとまり妊娠しなくなります

なぜ人は閉経してしまうのか ?

哺乳動物は子供を作る能力が少しずつ衰えます

動物は多くの子孫を残します

閉経はその事に矛盾しているように思われます

子供を産まなくなっても生き続ける人は動物の中でも珍しい存在なのです

 

閉経は人になにをもたらしたのでしょうか ?

子供が育つのに時間がかかるから大人になる前にお母さんが亡くなってしまいます

出産は母体にとって大きな負担となります 高齢になるほど出産は危険なのです

高齢で産むより今まで産んだ子供をキチンと育てた方が良いということになったのです

 

人は女性が子供を産まなくなっても生き続けるように進化しました

 

長生きできるようになった事は人類の発展にどのように影響したのでしょうか

 

50歳を超えた人が社会で果たす役割の研究があります

女性が60歳まで生きると50歳までしか生きられなかった家庭よりも一人多く孫が産まれます

80歳まで生きると平均で3人の孫がいるという結果になりました

おばぁさんの存在がお金と資源と信頼をもたらしたのです

 

出産の危険により人の女性は変化を遂げました

45歳を超えて出産することは危険なかけだと進化の道筋で退けられたのです

 

出産の機能を遮断して命を落とすリスクを回避

長生きして子供や孫の面倒を見られるように進化したのです

 

お年寄りは家族や社会に多くの英知をもたらしました

このことがチンパンジーなどの動物よりも人が大きく発展する要因となったと博士は考えているのです

 

進化の宿命としての老いと死

 

老いる事を進化の観点から考えると

 

老化現象については高齢者の医療を扱う医師が研究を続けています

彼らはホルモンが加齢の原因なのか議論を続けます

ホルモンを修繕して免疫系や神経システムを修復すれば150歳まで生きられると語ります

 

私達は体のパーツがほぼ同時に劣化するように進化してきました

どこか1カ所だという事はありません

ホルモンだけの問題なら進化の過程で修復したはずです

そうすれば人はもっと長生きになっていたでしょう

 

ホルモンがどうだとか、免疫がどうとかいうお年寄りはいないはずですね^^;

目が悪くなっている 耳も悪くなっている 嗅覚が劣化している

味覚もダメになっている 記憶力も減退している 筋力も落ちている

腎臓もダメ 

ヒトは体の各パーツが同時に衰える様に進化してきたのです

とても優れた設計なのです

 

老いて死ぬという現実と向き合うべきなのです

 

生物は自らの修復を終えて死を迎えても次の世代が続きます

女性が長生きして次の世代に命と知識を受けつぐ道を進みました

死を恐れるのではなく進化によってみがかれた生と死の仕組みを

受け入れる事が大切だと博士は語っているのです

 

年を取るという事は修復が行われないという事です

何をどれくらい修復するのかは進化の過程で定まりました

その結果が寿命なのです

 

sakura
ほんとうに不思議がいっぱいのヒトですね^^

命を守るために閉経ってあるのですね 納得できるお話でした^^

そして子孫を残すという事は 出産するという事 出産は女性を乳がんから守るという機能もある事を知りました

いろんな事には意味があるのですね

女性の死亡原因の1位「乳がん」増加の理由は ? 男性の乳がんも増加傾向のようです2018年10月25日